予防医学の観点から、健康な人を取り込む。
 練馬桜台クリニック

 都心から放射状に延びる目白通りを進み、練馬区に入ると間もなく、地上3階・地下2階の建物が見えてくる。診療所ながらも16床を有し、患者に対して「容態が悪ければ夜間でも気軽に電話してください」と呼びかける練馬桜台クリニックだ。地域医療と同時に予防医療、そして医療のIT化にも力を入れる同院を訪ねた。


 「健康倶楽部」で予防意識を。会員の2割は健康な方。

同院は今年2月、三井記念病院を経て、敬愛病院副院長として腎臓内科を担当していた永野正史医師が理事長となって開業した。内科2名・外科3名、合計5名の常勤医を抱える大型クリニックだ。

そのユニークな活動の一つに、「若返り健康倶楽部」がある。予防医学に力を入れたいという永野理事長の意向で設立された。地域住民の健康管理に一役買うとともに、健康なうちからクリニックの存在を身近に感じてもらいたいという狙いだ。

現在会員は350名ほど。そのうち2割は、患者ではない人、つまり健康な人だという。倶楽部では随時健康診断、動脈硬化診断のサービスを行うほか、健康セミナーを2ヵ月に1回のペースで行っている。

これまでのテーマは「寿命とセルフケア」、「医療費を払いすぎない方法」、「感染症から身を守る方法」など。毎回平均40人弱が聴講し、会場となるクリニックの会議室がいっぱいになるという。「友達を作る親睦の会ではなく、予防医学的な情報を提供することが主眼」と担当者は話す。

会員の特典はさらにある。夜間でも気軽にクリニックに電話相談できるのだ。むろん同院の患者でもそうなのだが、診察券を持たない人に対して夜間の電話相談に対応するクリニックは珍しい。有床診療所ならではのシステムといえる。


 在宅検査と連携。IT活用で地方の方に対しても実績。

さて、予防医療の新しいアプローチとして、同院では在宅検査システムを持つ(株)リージャーとの連携を開始した。同社が持つ血液成分分離方法の特許を生かしたシステムだ。

このキットでは即時に血漿と血球が分離されるため、検体の鮮度が保持されるという。自宅で採血し宅配便でラボに送ると、結果がまず電子メールで送信され、数日後に印刷されたものが届く。結果を見て医療機関での相談を希望する人は、提携クリニックを受診すると初診料の自己負担が無料になる仕組みだ。

同院でも、関連企業の(株)イーホープを通じインターネットとクリニック受付で販売している。キットは「生活習慣病チェック」「C型肝炎」など7種類あり、価格は3800〜7000円。今のところ、ネットを利用した、地方に住む人への販売実績が多いという。


 健診の機会を提供。さらに来院しての相談というフォロー。

では、こうしたキットを医療機関で販売するメリットはあるのか。同院では「生活習慣病が気になるが、なかなか検査の機会がない人に健診のチャンスを提供できる。それに、キットの販売だけではなく、来院しての相談というフォローができる。また、C型肝炎、エイズのキットもあるので、まずネットで購入して検査し、結果によって医療機関で相談するという行動も出てくるだろう」と解説する。


(Medical Nutrition 54号より)


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