更年期医療は予防医療、生涯の医療。
 ソフィアレディスクリニック

「更年期女性の医療は、その後の疾病予防、QOL向上をも見据えた生涯の医療」――この考えに立ち、ソフィアレディスクリニック(神奈川県相模原市)の佐藤芳昭院長は、女性の体をトータルにとらえた診療を行う。漢方薬やサプリメントを取り入れる一方、更年期医療の啓発のために地域密着型の活動を続けている。


 日本の更年期医療が変わるチャンス。HRT試験中止の意義とは。

昨年夏、米国立衛生研究所(NIH)が閉経後女性に対するホルモン補充療法(HRT)の臨床試験を中止したのは記憶に新しい。佐藤院長はそのことを、HRTを否定するものではないと同時に、日本の更年期医療が変わるチャンスと見ている。

理由の一つである乳がんの発生は、既知の数字からかけ離れてはいません。また、人種差に加え、参加者の平均年齢が61歳と高いこと、喫煙者も含まれていることなど、結果を日本人に当てはめるには条件が違いすぎます。それに、中止されたのはエストロゲンとプロゲステロンの合剤のみで、エストロゲン単独の試験は引き続き行われています」

中止後、植物性エストロゲンとして働く大豆イソフラボンが注目されるようになったのは変化の一つだ。佐藤院長は「一口にイソフラボンといってもさまざまな種類があります。その違いを理解して使わないと、十分な効果は得られません」と、アグリコン型大豆イソフラボン(IFA)のサプリメント(ニチモウ(株)製)を採用した。大豆や豆腐に含まれるイソフラボンは配糖体で、腸内細菌の酵素で糖が解除されてから吸収される。そのため、吸収性や個体差が問題であった。あらかじめ糖を切り離したIFAとして摂取すれば、吸収が高まる仕組みだ。

同院では、これを更年期障害のみならず、不妊症など女性の悩みに広く用いている。まず2ヵ月続けてみて、その間に症状が軽快する、体調が良くなるなどの反応が現れれば、そのまま継続。指先の血流からチェックしても、血流や血管弾性の改善が確かに見られるという。

「もともと日本人の女性では、冷え性が根本にあって諸症状が発現している」と佐藤院長。東洋医学で言う 血の概念で、すでに未病の状態と言える。その意味で、血流改善作用が認められているIFAは、漢方薬の駆血剤と同様に、女性の健康維持に合理的である。それに加え、抗酸化作用があることも、コレステロールが高値になりやすい閉経後女性には有利だ。


 疾病の予防やQOLの向上へ、漢方やサプリの出番。

診療では、ほてりや不眠など表面に出た症状のみにとらわれるのではなく、骨密度や血液循環、あるいは酸化ストレスなど、体をトータルにとらえた対処が肝要だとする。「そうすることで、疾病の予防やQOLの向上につながります。それが更年期医療のあり方だと思いますし、IFAなどのサプリメントが活躍できるステージでしょう」。

更年期医療をより理解してもらうよう、佐藤院長は市民公開講座をほぼ毎年開催し、すでに10 回を数えた。参加は無料で、毎回150〜200人が集まる。「女性に多いアルツハイマー、骨粗鬆症などは予防できることを話しています。住民とのコミュニケーションに役立つのはもちろんですし、勤務医時代からお世話になった地元への恩返しでもあります」。


(Medical Nutrition 50号より)


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