O‐リングテストを補助診断に。
 慈恵医大柏病院

「バイデジタルO−リングテスト」(BDORT)をご存知だろうか。筋の緊張(トーヌス)を利用して生体情報を感知する検査手技のことだ。呼吸器内科が専門の矢野平一医師(慈恵医大柏病院内科)は、「こじれた慢性咳の薬剤選択に欠かせない」として、西洋医学的手法と組み合わせて活用している。


 迅速な判断に役立つBDORTの補助的診断法。

「一口に肺炎と言っても、抗生物質が有効なものと、ステロイドを必要とするものがあります。特に重症例では迅速な判断が要求されますが、画像診断など通常の方法では決めかねることがしばしばです。そのような場合に、BDORTが補助的診断法として役立ちます」と矢野医師は話す。

BDORTは大村恵昭博士が考案した方法(Omura 1981)で、四半世紀近い歴史をもつ。「生体そのものが極めて敏感なセンサーで、毒物を近づけたり、体に合わない薬剤を手に持たせたりすると、筋の緊張は低下し、逆に有効な薬剤では緊張が良好に保たれる」という原理に基づいている。

実際のテストはこう行われる――。被験者は一方の手に医薬品や健康食品を握り込み、他方の手の親指と残りの指の一つとで輪(O−リング)を作る。検査者はこのO−リングを左右に引いて開こうとする。抵抗できずにO−リングが簡単に開けば筋緊張が低下したことになり体に合わない物質と、閉じたままなら筋緊張が保たれているので有効な物質と判断する。

「周囲の人に感染する肺結核と、それによく似た病気で感染はしない非定型抗酸菌感染症との鑑別は、通常PCR法を用います。しかし隔離すべきかどうかは数日後に出る結果を待たなければ分かりません。このような場合に抗結核剤を手に握ってもらってBDORTを行えば、その場でどちらかが分かりますし最近は正診率が高くなっています」。


 個々の患者に適した医薬品やサプリメントをその場で非侵襲的に判別。

最大のメリットは、個々の患者に適した医薬品やサプリメントを、特別な設備を使わず、その場で非侵襲的に判別できる点である。医薬品の添付文書には適応症が書いてあるが、それだけでは目の前の患者に合致しているか不明瞭だ。「そんな時、個々の患者に対する適合性を判断するのに役立ちます」と矢野医師。BDORTは主に外勤先の病院の外来で行っているが、200種類以上にも及ぶ医薬品、サプリメントなどのサンプルを常備しているという。

患者の中には、いくつものサプリメントを使用している人がいる。「体に合わないサプリメントを漫然と続けている患者さんがいます。医薬品と、あるいはサプリメント同士の相加的あるいは相乗的な効果を期待しても、飲み合わせが悪くて効果が減弱するようでは、意味がないでしょう。それを判別し整理するのにBDORTは強力な武器になります。患者さんには、飲んでいる薬やサプリメントをすべて持って来てもらい、相互作用をチェックしています」

最後に矢野医師は念を押した。「一見簡単そうに見えても、知識と熟練が必要な技術です。はっきりした答えが出るだけに、得られた結果は必ず他の診断法と照合するようにしていないと、思わぬ落とし穴にはまります」


(Medical Nutrition 46号より)


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