現代人にマッチ、唾液でストレス測定。
 (株)プリベンション・インターナショナル

唾液中に分泌されるペプチドを測定することで、メンタルストレスを定量化――。ストレス社会に生きる現代人にマッチした検査サービスがスタートした。しかも、医師が始めた検査受託事業だ。「ストレスとは、人生のスパイス。料理と同じように、多すぎても少なすぎてもおいしくありません」。こう語る(株)プリベンション・インターナショナル社長の西恵吾医師を訪ねた。


 唾液中のクロモグラニンAの測定によるストレス検査法。

ストレスは決して悪いものばかりではない。課題やレポートの締め切りが近づくと、集中力が高まるのは誰しも経験することだろう。しかし、ストレスが直接的・間接的な原因となって自殺に追い込まれる人もいることを考えれば、対処の重要性は明らかだ。

そのために必要なのが、ストレスの定量化。それが可能になれば、医療現場での診断補助に役立つばかりでなく、セルフメディケーションのツールとして有望である。

バイオマーカーの研究で知られる(株)矢内原研究所が、唾液中のクロモグラニンA(CgA)の測定によるストレス検査法を開発した。CgAは、副腎髄質から分離される酸性の糖たんぱく質。顎下腺導管部にも存在し、自律神経刺激により唾液中に放出される。

このCgAを測定することで、ストレスの度合いを測るのである。発表会のような強いストレス負荷、あるいは「順番待ち」のような比較的弱いストレスにも反応する。しかし、自転車をこぐ時など、肉体的ストレスには反応しないことがわかっている。

内科クリニックを開業する一方、予防医学に役立つ事業を立ち上げたいと考えていた西医師は、矢内原昇氏と出会い、今回の受託事業を始めるに至った。

「CgAは微小なストレスにも反応し、感度が高いのが特徴です。採血検査ですと、針を刺すこと自体がストレスになり、結果に偏りが生じることになりかねません。その点、この検査は唾液を用いて行うので、非侵襲性。検査手技に熟練を要することもなく、いつでもどこでもできます」とメリットを解説する。

唾液採取のために口に含むのは、歯科用の脱脂綿。受検者は専用の容器にセットされた脱脂綿を1〜2分噛み、唾液を染み込ませる。噛み終ったら脱脂綿を容器に入れてフタをし、クール宅配便で研究所に送付する。受け付けからおよそ7日で、結果が通知される。検査料は1検体3000円(送料別)となっている。


 ストレスをコントロールする時代へ。

ストレスとCgAの関連を調べるために、健康人81名を対象とした研究がある。30分間の暗算テストを行って精神的ストレスをかけ、CgAと唾液中コルチゾールの濃度を比較したものだ。その結果、CgAはテスト終了直後に、開始前に比べて有意に上昇、休憩を取ると有意に低下した。一方、コルチゾールはテスト中に上昇は見られなかった。

予防医療としての用途のほかにも、職場で人材の適正な配置に役立てるケースも考えられる。精神科領域では、ストレス負荷前後のCgAの分泌パターンを分類して、そこから診断の補助に役立てることも可能だ。

「これからは、ストレスにコントロールされた時代から、ストレスをコントロールする時代へと変わっていくでしょう」(西医師)。CgAがその幕開けになると期待される。


(Medical Nutrition45号より)


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