マスティックガムの予防効果を学会発表 ギリシャマスティックの抗ピロリ菌作用は既によく知られているが、最近は口腔疾患の予防に関しても期待が寄せられている。2001年4月の日本歯周病学会では、明海大学歯学部(埼玉県坂戸市)・高橋慶壮氏らのグループが「マスティックは口腔疾患予防に有効な素材」との発表を行った。そこで、高橋氏に研究の詳細を聞いた。
歯科の2大疾患のう蝕と歯周病は多数の口腔内細菌による複合感染で発症するため、予防にはプラークコントロールが重要とされている。プラークコントロールにはブラッシングやスケーリング等の機械的なものと、うがい薬、歯磨剤、ガム等を利用した化学的なものとがある。最近は植物由来の天然素材が抗菌性、抗炎症作用を有し、口腔疾患予防にも利用できると期待が寄せられ、現在、生薬、ヒノキチオール、プロポリス等が活用されている。これら自然素材のなかで、今注目を浴びている素材がマスティックだ。マスティックは、ギリシャのヒオス島にのみ群生するかん木の樹液から採取される。原住民は5000年も昔から、消化器疾患に対する治療薬として利用してきたという。 先日、日本歯周病学会において、この注目の自然食品素材を加工したマスティックガムのプラーク形成の抑制効果が、明海大学歯学部歯周病学講座・高橋慶壮氏らによって発表された。 これは、マスティックガムがプラークコントロールに有効かを評価することを目的に、マスティックガム、プラシボガムおよび既存の抗菌剤の細菌増殖抑制効果とプラーク形成、歯肉炎の抑制効果を比較検討したもの。被験者は20名。マスティックガム、マスティック不含ガム、塩化ベンゼトニウム溶液、リン酸緩衝溶液(PBS)を用いて評価した。被験者には7日間ブラッシングを禁止させ、マスティックガムあるいはマスティック不含ガムのみを食後に1つ20分間噛ませ、実験終了後、歯面へのプラーク形成及び歯肉炎指数を比較した。 この結果、マスティックガム群は、PBS洗口群および、マスティック不含ガムと比較して口腔内細菌の増殖を有意に抑制した。この抑制効果は塩化ベンゼトニウム含嗽群のそれとほぼ同等だった。また、プラーク形成および歯肉炎も有意に抑制した。高橋氏らはこの試験結果を受けて、マスティックガムが口腔疾患の予防に利用できるという見解に至った。
ガムを噛むことにより唾液分泌を促進し、口腔内の自浄作用を促す理想的な素材だ。しかし、高橋氏は「欧米とは文化が異なるためか、日本ではガムは菓子として定着している」と現在の日本では残念ながらガムは機能性をもつ食品としては捉えられていない現状を指摘する。 国民の意識が徐々に予防へと移行しつつある今、マスティックのような抗菌性と多機能性をもった自然由来の素材が手軽に利用が可能なガムとして一般に流通するようになれば、「口腔保健の啓蒙にもつながる」とも同氏は話す。続けて「歯科医療にも西洋医療と東洋(代替)医療の統合が必要な時代にきていると思います。ただ単に削って埋めるだけの歯科治療にとらわれず、自然のもので予防できる環境ができればいいですね」と「機能性ガム」の普及に高橋氏は期待を寄せている。 http://www.dent.meikai.ac.jp/dept/perio/Index.html (Medical Nutrition 27号より) |
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