生体のリズムと同調させる鍼治療を 筑波技術短期大学 西條一止学長
漢方と並ぶ東洋医学の代表格、「鍼灸」。筑波技術短期大学・西條一止学長らの研究では呼吸運動リズムと副交感神経との関連性が示されている。鍼灸の本態と真髄を追求しつづける西條学長に話しを聞いた。
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中国とは異なった日本の鍼文化 |
鍼は誰にも「痛い」イメージが付きまとう。中国では鍼は医の中のもので、「痛いこと」は当然のように捉えられている。しかし、「医の外」と考えられる日本の鍼は、「痛ければ患者はこない」という。このため、「痛くない・心地よい・効く」鍼治療が日本で根付いてきたと西條氏は話す。さらに、日本は鍼を刺してからツボを探す中国と違って、ツボを正確に手で診てから刺す。この的確にツボを判断する技量には経験の蓄積が必要で、これまでの日本の無痛への取組みは優秀であると氏は付け加える。
「人間の生理反応として、最初の1回目に痛さを感じると、ますます痛みを起こしやすい状態になる。ですから最初の1回目はわざと鍼を刺さずに、患者に無痛のイメージを植え付けるといったようなことを施すのも大切な臨床であると思います」。研究が臨床の領域を侵すことが患者の不幸を招き、医療全体の水準が上がらないと指摘する西條氏の理論がこの意見からも窺い知ることができる。
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自然治癒力を高める基礎治療を重視する |
鍼灸の治療をするにあたって西條氏は今までの症状に対する治療と、自然治癒力を維持管理することの2点を挙げる。明らかに戦時中の生活と現代の生活環境は大きく異なり、身体の歪を調節できなくなってきている。日常の生活の中から生じた疾病は薬では対応しきれない面もある。これらを踏まえまず生体側の条件を整えることが最優先であると主張している。
鍼灸治療の基本的な考え方として、症状に対して行う「標治法」と身体全体の機能状態の改善を目的とする「本治法」とがある。これまでの研究から、最初と最後に行われる、皮膚、皮下組織・呼気時・坐位で刺鍼をした場合、副交感神経機能が高まるとの結果が得られている。腹部・背部刺鍼と合わせてこれらは本治法と呼ばれ、身体の構造的トラブルを除去することによって自然治癒力を高める基礎治療として重要とされている。加えてほかに個々の症状に合わせた標治法の治療を行っていくわけだ。
「鍼灸は身体の構造機能抜きには存在しませんが、構造機能については現代医学で十分過ぎるほど環境は整っています。刺激として針を使う場合は物理療法です。座っている状態で、息を吐いているときに皮膚、皮下組織を軟らかく刺激することによって生体のリズムと同調し、自然治癒力が高まってくるのです。」(西條氏)とあくまで生体を中心とした考えを主張する。
(Medical Nutrition 24号より)
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