咬合治療で不定愁訴を緩和
 安藤歯科クリニック 安藤正之医師

東京・中野区で歯科医院を開業する安藤正之氏は、O−リングテストと気功を歯科医療に応用し、咬合を調整することによって全身の健康維持指導に努めている。同クリニックでは、歯科医向けにO−リングによる診断と咬合調整法のセミナーや、一般向けに健康教室も開いており、その独自の診療を実践している。歯科治療での予防は、まず西洋医学的「除菌」から始まる。次いで体質(生活)改善に移るが、髪の毛一本分程度の精密な咬合治療が色々な意味での予防に大きな効果をあげていることは意外と知られていない。


 髪の毛一本分程度の精密な咬合治療

安藤歯科クリニックでは一般的な歯科疾患のほかに腰痛、肩こり等の不定愁訴のある患者に対して、気功、O-リングテストを使った特殊な咬合治療を実践している。安藤氏は10年前に気功とO-リングテストを独学で学んだという。現在はそれに独自の工夫を加え、安藤式O-リングテストとして完成させ毎日の治療に応用している。

その実際の治療は左右の咬み合わせがあっているかどうかを安藤式O-リングテストで診断し、ほんの少しの調整を加える。「昔と今では食生活の違いで咀嚼回数が極端に少なくなっています。そのため歯がほとんど磨耗せず、さまざまなトラブルを引き起こしています。私の咬合調整は本来なら自然に調節できる量を補っているにすぎません。ですから少量の切削で効果が顕著に表れます」と同氏は話している。

実際、0.2〜0.02mmの調節で、腕の上げ下げ、前屈、姿勢等は即座に効果を示し、肩こり腰痛等が激減する人も少なからずいるのには驚かされる。ちなみに顎関節症もこのやり方でほとんどの人が治癒、または症状が改善するとのこと。やはり、調整はごく微量で、通常、口腔外科での顎関節症の治療に使われるマウスピースは非常用の役割でしかないと氏は話す。「咬合に良いとはつまり下顎の位置が適正であることであり、咬むということは親知らずを抜かして28コ(本)の小さなポンプと、翼突筋にある静脈叢の2コの大きなポンプで静脈還流が行われるということです」

 『心』の持ち方が効果を左右する

よく世間で言われる痴呆の予防のみならず、咬合治療で改善されるものの中には、肩こり、腰痛のほかに、高血圧、めまい、耳鳴り等、本当にこれが咬合からきているのかと、安藤氏自身が疑いたくなるものも多数含まれているという。これらの疾患の中で歯科で治療できるものの範囲やデータを出していくことがこれからの歯科界の課題と氏は語る。そのため、一般医科の整形外科、内科の医師とも提携をしていきたいという。

「人の中心にあるものは『心』、次が『食事』。そして『咬合や靴の具合や仕事の姿勢』。その結果が直接身体に出る。私たちはあくまでも3番目の治療にすぎないし、本当は最も効果があるのは『心』の持ち方」というのが安藤氏の持論。つまり、心が病んでいる人はテクニックではなかなか治りにくく、怒ったりショックを受けたりすると歯を調整してもよく後戻りをするそうだ。

安藤院長は「10年後には咬み合わせ治療が医学の中で当たり前の学問になっていれば」と抱負を語る。

(Medical Nutrition 23号より)


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