生アルツハイマー病は生活習慣の延長上にある 自治医科大学大宮医療センター 植木彰教授
なぜアルツハイマー病(AD)は発症するのか――。AD研究の盲点であった「食生活」に、その答えが見出せそうだ。「痴呆症は生活習慣病」と語る自治医大大宮医療センター神経内科の植木彰教授に聞いた。
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きちんとした食生活がADを防ぐ |
「AD患者の食事因子を調べていくと、生活習慣病の食事因子と酷似していることが分かった。ようするにAD患者は、抗酸化、抗炎症、抗 動脈硬化――この3つに関係する野菜や果物、魚、ビタミンB群を摂っていない」。植木教授は、食事栄養調査によって「ADは生活習慣の延長上にある」とする理論を導いた。
現在ADに関連する遺伝子は、十数個以上が調べられているが、遺伝因子だけでは説明がつかない。「AD患者の病歴を調べると、大腸がんや大腸ポリープ、乳がん、肺がんなどの欧米型がんの既往のある人がかなりあり、欧米型の食習慣が共通しているように思える。遺伝子の関与は確かですが、きちんとした食生活を送っていけばかなり防げるのではないか」と植木教授は話す。
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摂取過剰が障害に関与 |
植木教授らの研究によると、AD患者では魚に含まれるDHAやEPAといったn-3系の不飽和脂肪酸の摂取量が少なく、獣肉などに含まれるリノール酸やアラキドン酸の n-6系不飽和脂肪酸が摂取過剰だ。n-6過剰タイプは男性に多いが、n-3不足タイプに比べコントロールがしやすいのも特長。逆にn-3不足タイプは女性に多く、コントロールが困難。ADが女性に多く見られる理由の一つと考えられる。
さらに最近、AD患者のエネルギー摂取過多を見出した。運動量、活動量などから求めた必要エネルギーを検討すると、健康で長寿な人は、必要エネルギーと摂取エネルギーが一致するのに対して、AD患者は1800kcalでよいところを2400〜2500kcalも摂っていることがある。エネルギーの過剰摂取はフリーラジカルを産生し、海馬ニューロンの障害に関係することが推定される。
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まずは生活習慣の改善から |
植木教授のもとで行われるADの治療は、先ず栄養調査でできる限り補正、「野菜と魚を食べて下さい」と指導する。そして、ビタミンEやn-3系必須脂肪酸、アリセプトを選択する。血液検査の結果によってはビタミンB6、B12、葉酸などを補充。さらに抗酸化物として「非常に経過がよい」というイチョウ葉エキスも勧めている。しかし「一端発症してしまった人への栄養学的介入には限界があり、予防が中心になる」という。
ADの一次予防について植木教授は、「生活習慣を改善することによって、6割とは言わないまでも、かなりの程度は予防できるでしょう」と語る。
(Medical Nutrition 20号より)
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